広告のインハウス化で失敗する会社の共通点5つ
広告運用を社内に取り戻そうとして失敗する会社には共通のパターンがあります。担当者の問題ではなく、体制と順番の問題です。5つの共通点と、それぞれの対処を解説します。
この記事は、広告運用のインハウス化を検討している、または始めたが思うように進んでいない事業会社の責任者向けです。読み終わると、自社がどのパターンに当てはまりそうか、何から手を付ければいいかが分かります。
インハウス化の失敗は、担当者のせいではない
「担当者を置いたが成果が出ない」「代理店に戻した」という話をよく聞きます。ほとんどの場合、担当者の能力の問題ではありません。体制と順番の問題です。失敗する会社には、はっきりした共通点があります。
1. 「代理店費用の削減」が目的になっている
代理店の手数料(広告費の20%前後)を浮かせたい、という動機自体は自然です。ただ、それが唯一の目的だと、インハウス化は失敗します。
理由は単純で、担当者の人件費と育成期間を含めると、最初の1年は代理店より高くつくからです。月の広告費が300万円なら代理店手数料は月60万円程度。担当者1人の人件費と、成果が出るまでの半年間の機会損失を考えると、1年目に元は取れません。
インハウス化の本当のメリットは、費用ではなく「スピード」と「事業理解」です。社内に運用者がいれば、キャンペーンの変更が当日にでき、商品やお客様を一番知っている人が広告を作れます。ここを目的にしないと、1年目の費用で心が折れます。
対処:費用削減ではなく「事業に合わせた改善スピード」を目的に置き、1年目は投資期間と割り切る。
2. 教えられる人が社内にいない
最も多いパターンです。担当者に媒体の資格を取らせ、管理画面を触らせ、あとは本人任せ。本人は真面目に勉強しますが、「この数字は良いのか悪いのか」「次に何をすべきか」を判断する基準が持てないまま、半年が過ぎます。
広告運用は、知識より判断の積み重ねです。判断は、経験者に「それは違う」「それでいい」と言ってもらうことでしか身に付きません。独学で管理画面の操作は覚えられても、判断の型は覚えられません。
対処:外部の経験者を「社外の先輩」として半年〜1年置く。研修ではなく、自社アカウントを題材に、隔週程度で判断を一緒にする形が最も効果があります。
3. 計測が整っていないまま運用を始める
コンバージョンの定義が曖昧なまま、または計測が正しく動いていないまま、入札やクリエイティブの改善を始めてしまうパターンです。
計測が間違っていると、どんなに運用を頑張っても、良くなったか悪くなったか分かりません。特に BtoB では、「フォーム送信」をコンバージョンにしていると、営業からは「問い合わせは増えたが有効じゃない」と言われ、運用者は「CPA は下がっているのに」と困る、という対立が起きます。
対処:運用の前に、計測の棚卸しをする。「何をコンバージョンと呼ぶか」を営業と合意し、GTM・GA4 で正しく取れていることを確認してから、改善に入る。
4. 担当者が1人で、兼任
マーケ担当が1人で、広告運用のほかにサイト更新、SNS、イベント、資料作成を兼任している。広告に割ける時間は週に数時間。この状態で「成果が出ない」のは当然です。
広告運用は、毎日見なくてもいいですが、週に1回はまとまった時間で数字を見て、判断し、変更する必要があります。細切れの時間では、管理画面を開いて閉じるだけで終わります。
対処:週に半日は「広告の時間」として確保する。確保できないなら、計測・レポートを自動化して、判断だけに時間を使えるようにする。
5. 担当者が辞めるとゼロに戻る
せっかく育った担当者が転職し、後任にノウハウが引き継がれない。管理画面のアカウント構成も、なぜその設定なのかも、誰も分からない。結果、代理店に戻す。
これは担当者個人にノウハウを溜めたことが原因です。「できる人ほど独立する」のがこの業界なので、辞める前提で仕組みを作る必要があります。
対処:判断基準・計測の設計・レポートの見方を、ドキュメントとダッシュボードとして社内に残す。「人」ではなく「仕組み」に溜める。
どこから手を付けるか
5つのうち、最初に対処すべきは 3(計測) と 2(教える人) です。計測が整っていないと何をしても評価できず、教える人がいないと担当者が判断を覚えられません。この2つが揃えば、1・4・5 は時間とともに解消していきます。
まとめ
インハウス化の失敗は、担当者の能力ではなく、目的・教える人・計測・時間・引き継ぎの5つの体制の問題です。特に「計測を先に整える」「社外の先輩を置く」の2つを最初にやれば、半年後の景色が変わります。
自社がどのパターンに近いか判断がつかない場合は、現状のアカウントと体制を見せていただければ、30分で整理してお伝えできます。

